驚く人はもはやいないでしょうが、アメリカ人がオンライン動画広告の消費に費やす時間は、ついに長年の暇つぶしのチャンピオン、テレビを追い抜きました。コンテンツの質と量、そしてストリーミング速度の向上により、オンライン動画は巨大なエンターテインメントのモンスターのような存在となりました。ところが、現代の消費者への理解不足と、「オーディエンス第一」の戦略が業界に受け入れられていないことから、オンライン動画広告の成長は足踏み状態を続けています。

親の世代なら誰もが賛同するように、テレビの視聴は電話やタブレットといった第二のスクリーンによって阻まれて減少し、消費者の関心も同じくテレビから逸らされています。子どもたちはテレビを見ているかもしれませんが、同時にiPadも見ています。母親も父親も同様でしょう。家族の時間と「見逃せない番組」は、今ではマーケターにとってマルチスクリーン、クロスチャネル、常時オンタイムに進化したのです。

しかし、変化の時にありながら、オンライン動画広告の収入はそれに比例するほど大きく増加していません。たとえテレビの視聴率が低下し、オンライン動画の視聴率が急上昇していても、マーケターたちは初恋の相手、テレビに戻り続けるのです。オンライン動画の堅調な右肩上がりの成長を考えると、この状況には困惑します。問題はオンライン動画の視聴率に対する認識にあります。まだデジタルメディアは、2時間枠で2億個の目に同時配信する能力を備えた「スーパーボウル」の予約視聴の瞬間を迎えるに至っていません。

オンライン動画自体、そして放送に匹敵する規模のオーディエンスを集めることには、さらに高度な複雑さがあります。ランドスケープの評価に時間を費やしたくないマーケターは、ふと気づけば、安全で居心地のよい80年代のテレビモデルに戻っているかもしれません。しかし、マーケターたちはオンライン動画の複雑さがどれほど価値のあるものに気づいていません。オンライン動画の複雑さは、誰が、いつ、どのように視聴しているかを理解している限り、より正確に消費者にターゲットを絞るチャンスをもたらしてくれるのです。こうしたオーディエンスデータをすべて活用する能力は、オンライン動画において非常に重要なメリットになります。

新世代のメディア消費者をエンゲージする秘訣は、彼らの日常的な一日を理解することです。消費するメディアとコンテンツのタイプを知ることは、マーケティングの第一歩にすぎません。オーディエンスの生活にはリズムがあり、プラットフォーム間を使い分ける理由とリズムを理解しなければなりません。この理由とリズムはやみくもに飛びついているわけではありません。これは意識的で追跡が可能な行動パターンであり、マーケティング戦略はこれらによって変えられるべきです。消費者は大量のオンライン動画を見ています。そしてどこでどのように見たいかはその消費者のスケジュールによって決まるのです。

テレビ優位の中で何十年も繁栄を続けて来た従来の考え方は、どの番組がどれくらい視聴されているかが消費者ターゲティングにおいては最も重要であるということです。すなわち、子どものいる何百万人の若い親たちが『Dr. Phil』を見ているとしたら、その日中のテレビブロックにはパンパースやロウズといったオムツのコマーシャルを集中的に流します。私たちは子供を持つ若い親たちが驚くほど大量のオンライン動画を見ていることがわかっています。そして現代のマーケターは、すばらしいファーストパーティーとサードパーティーのデータという魔法を使って、彼らが視聴する可能性が最も高いタイミングを知ることができます。私たちは視聴者についてかつてないほど多くのことを知っており、これによって「オーディエンス時代」の幕開けが促されています。強力なデータマイニング技術が主導するオーディエンスファーストの考え方は、各マーケターと業界全体の効率につながっています。

オンライン動画の活用は、やがて来るテレビの斜陽に備えることではありません。今のところテレビはよくやっています。それは、消費者が利用するメディアの中でオンライン動画が益々大きな部分を占めるようになっていること、そしてオーディエンスファーストの戦略により、デバイス中心ではなく消費者中心のマーケティングを推進すべきであることを認識することです。

この記事の所定の版は『VentureBeat』に掲載されました。