オーディエンスターゲティングの精度と広告取引の効率が向上したことが、パブリッシャーと広告主がより効率的に協業できる新しい手法への関心が高まっています。最新の流行であるプログラマティックダイレクトは、リアルタイム入札(RTB)の効率を保証型広告掲載申込書の世界に にもたらすと約束していますが、そこにはプログラマティックな無駄という落とし穴が潜んでいます。

これは、バイヤーがプログラマティックダイレクトによって取得するインベントリのうち、「従来の」RTBであれば廃棄されていたはずの在庫の残骸を指します。保証型インベントリでは、パブリッシャーが「適正な」インプレッションを送ってくれるか否かについて、バイヤーがそのリスクを100%負います。このリスクを軽減するため、広告主は予測廃棄量を考慮してパブリッシャーと交渉する価格を割り引きます。RTBにはオーディエンスを見つけてエンゲージする能力があるため、このリスクを最小限に抑えることができますが、プログラマティックダイレクトのバイイングではまだこうした効率性が欠けています。

「新しい」プログラマティックダイレクトの取引モデルは、従来の在庫保証型モデルと同じ料金体系に従っています。そのため、バイヤーはパブリッシャーとの従来型の保証契約に縛られ、セールスチームからターゲットオーディエンスに最適にアプローチする製品を特定するための支援も受けられず、気づけば名ばかりの自動化に囲まれていたということになります。

幸いにも解決策があります。それは私たちが「インベントリディスカバリ」と呼んでいる方法です。これがどのようにバイヤーとセラーを支援するかを理解するためには、まず「無駄な取引の管理」を怠るとインベントリの価格設定にどんな影響があるかを理解することが重要です。広告主は、条件どおりのターゲットオーディエンスを得られるとわかっていれば、より多くの費用を支払います。プログラマティックバイイングを本当の意味で自動化するためには、セールスチームが果たしてきた役割、すなわちバイヤーが目標を達成できる可能性が最も高いパブリッシャーのインベントリを特定し選択できるようにする役割を自動化する必要があります。これがうまくできるほど、たとえ固定レートの契約であっても、バイヤーへのリスクを大幅減らせるようになります。バイヤーは、限りある広告費が有効に使われていると感じれば、より多くの費用を支払おうとします。

今日ではインベントリディスカバリによりこのような無駄を減らすツールも登場しており、質も上がってきています。すでにデータマネジメントプラットフォーム(DMP)は、マーケターがファーストパーティのデータ、およびサードパーティデータプロバイダーのデータに基づいて、独自のオーディエンスセグメントを作成できるように支援しています。バイヤーはターゲットオーディエンスを決定すれば特定インベントリソースでのオーディエンスのリーチを確認します。

ただし、バイヤーはメディアプランのツールという課題に直面します。メディアプランツールは通常、エクスチェンジのレベルでしか分析を提供しません。ドメインまたはサイトのレベルでターゲットオーディエンスを掘り下げて見るためには、高レベルのスタティックなオーディエンスの特徴(居住地など)や、範囲の狭いデモグラフィックを使用するしかなくなります。このような正確なデータの欠如は、マーケターに90年代のテクノロジーでターゲティングを強いることを意味し、セラーが得られるインプレッションは遙かに少なくなります。

以前、バイヤーはパブリッシャーのコンテンツをターゲットオーディエンスの代わりに使用していました。これも大きな無駄につながります。最近一部のパブリッシャーは、バイヤーに「適正な」オーディエンスを定義して、それを含めたユーザーリストをパブリッシャーに送るように提案していますが、これは実現困難な解決策です。バイヤーが絶え間なく変化するセグメントのメンバーシップルールを何千もの取引先パブリッシャーと同期化することはできないので、このアプローチでは規模を達成することができません。

一方、RTBの取引モデルでは、デマンドサイドプラットフォーム (DSP)により、広告主はユニークオーディエンスの定義に基づいて正確なターゲットオーディエンスにリーチできます。広告主からは、プログラマティックダイレクト契約に同様のオーディエンスターゲティング機能を望む声が届いています。この同じバイヤー側のテクノロジーは、保証インベントリの計画と予測に使用する場合に、これまでパブリッシャーが高い費用を払って営業人員に解決してもらっていたディスカバリの課題の一部が解決できます。

価値の高いインベントリのディスカバリをさらに自動化するため、パブリッシャーはトラフィックのサンプルをバイヤーのDMPに提供し、これらのパッケージに対するオーディエンスを予測することができます。バイヤーは、どのパブリッシャーから購入するか、また、どのパブリッシャーの製品パッケージを購入するかを両方とも特定することができます。これはトラフィックのサンプルだけなので、パブリッシャーは引き続き販売先と最低価格に対するコントロールを保持します。つまり、DMPはパブリッシャーにとって時代をリードするツールとなります。

プログラマティックダイレクトのバイイングのすべての潜在力が、インベントリディスカバリを通じて解き放たれます。広告主は、リスクが軽減すれば、より多くの費用をインベントリに払い、なおかつ高いROIを達成するでしょう。テクノロジーはすでに存在します。ただ、このシンプルな解決策でプログラマティックの無駄を管理すれば、バイヤーとセラーの双方にすぐに利益がもたらされることに市場が気づくには、もう少し教育が必要かもしれません。

この記事の所定の版は『MediaPost』に掲載されました。